ー友ー

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「う~ん…」 紅月は、たまたま部屋の窓から庭にいる翔と彩月を見てしまった 当然、二人のキスシーンも見たわけだが… あれは、明らかに彩月に無理矢理された状態だから、心配する事はないとは思うが… 「彩月か…」 優し過ぎる彩月 昔からそうだった そして、彼女を失った時から、二度と誰も愛さないと泣きながら叫んでいた姿が、今でも鮮明に頭に残っている 「ん~」 彩月には、新しい恋愛をして欲しいと思っていた それなのに よりにもよって… その相手が翔だなんて 「神は残酷な試練を与えたものだな…」 彩月と銀月が親友なのも、知っている 銀月が彩月の気持ちを知ってしまったら、どうなってしまうのか? 翔と銀月の間に、彩月の入り込む隙はないだろう しかし、絶対とは言い切れない 「はぁ…」 庭でじゃれあう二人を見ながら、溜息をつく 「悩み事か?」 「銀月…」 「お前が溜息なんて、珍しいな」 「そうか?」 銀月は庭にいる二人を見つめていた 「お前こそ珍しいな」 「何が?」 「あの二人をとめに行かないなんて」 いつもなら、とっくに止めに行っているはずなのに… 「彩月は…どうやら本気みたいだな」 やはり銀月は気付いていた 「彩月が本気だとしても、翔が相手にしないだろ」 「………そう願いたい」 「おぃおぃ…やけに弱気だな」 珍しいな いつも強気の銀月がこんな事を言うなんて 「まさかお前…まだあの事を?」 「さぁ…」 銀月は寂しそうに笑う 彩月の最愛の人は、銀月を庇う彩月を押し退けて、身代わりになって命を落とした 「お前のせいじゃないはずだと、彩月も言っただろ」 「ああ」 「だったら何故そんな顔をしているんだ」 「わからないよ…だけど、あれは明らかに俺のせいだ」 「銀月…」 やはり、銀月はまだ、気にしていたのか… 彩月が本気だと知って、お前は何を考えているんだ? まさか… まさかだよな……
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