ー友ー

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結局、あのまま寝てしまったんだ… 腕を怪我してから、和海は気を使って別々の部屋で寝ている 今みたいに、気まずい時は部屋が別々だと助かる 顔が見れないのは寂しいけど、今は和海の顔が見れない俺がいる 服を着替えて、リビングへ行く 「翔、おはよ」 彩月… 『おはよ』 「ん、元気ないな」 『そかな?』 「熱でもあるのか?」 彩月が俺を引き寄せ、額に手をあてた (ドキッ!) 「熱はないみたいだな」 そう言って、頭をクシャっと撫でた 『もう、髪が…』 「気にするんだ」 『まぁ、一応ね』 「ふぅん」 ヤバイ… この顔… 「翔!」 やっぱり…(泣) 彩月は俺を片手で抱きしめながら、髪をくしゃくしゃにした 「お?いいかも」 『はぁ…いいわけないだろ』 「寝癖みたいで可愛いよ」 『ったく』 「すねるなよ」 そう言いながら、またされそうになったので、逃げ回った (ドンッ!) 『いたい…』 「翔様、大丈夫ですか?」 『うん…ごめん』 「危ないですから、気をつけて下さいね」 『うん』 駄目だ 会話が成立しない 「翔、庭行くか?」 『あっ…』 和海は黙っている このまま、気まずい雰囲気の部屋にいるのは、何となく嫌だった 『うん、行く』 「よし、んじゃお姫様だっこしてやる」 『ちょ、やめろよ!』 「はいはい、怪我人は黙る!」 (フワッ) あっさり抱き上げられてしまった 「このまま白雪姫にキスしようかな」 『白雪姫は王子様のキスで目を覚ますんだよ!生憎俺の目はバッチリ覚めてる』 「そこまで拒否らなくても…」 和海は…黙って本を読んでいた 今までだったら、必ず助けてくれたのに… 和海… 「翔…」 『ん…?…!!』 「隙あり!」 キスされた… 和海の前で… 和海は 気付いてないのか… 俺より本が楽しいわけね
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