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「銀月…お前いいのか?」
紅月がソファーに座り、庭を見ていた
「いいんですよ…」
本に視線を落としながら答える
「その割には、さっきからページが進んでないようだが」
「……………」
「俺の目から見ても…このままじゃ、まずいぞ」
「わかってますよ」
「翔は変に優しい所があるから、このまま彩月に押し切られたら…」
「それは翔様が決める事です」
「お前…お前のそんな態度が翔を混乱させてるのが解らないのか?」
「混乱するなら、私達はその程度の繋がりだったと言う事です」
紅月は手に持っていたコーヒーカップを乱暴に机に置いた
「お前、ふざけるなよ?お前の過去に翔を巻き込むつもりか?わざと冷たくして、お前から遠ざけ、翔をものか何かのように彩月に渡すつもりか?」
「冷たくした覚えはありませんが」
「彩月は過去にはこだわっていないだろ?あいつがその事で、お前を責めた事があるか?」
「何も言わないから、余計に辛いんです」
「あいつがその話を出して、翔を渡せと言った事があるのか?」
「彩月はそんな事はいいませんよ」
本を静かにとじ、庭を見る
「だったら尚更…彩月の気持ちは本気だって事だろ?後から後悔しても遅いんだぞ」
「わかってますよ」
「お前……悪いが俺は翔に同情するよ…あいつが彩月を選んだとしたら、俺は素直に喜んでやる事にする」
「ご自由に」
「お前がこんなに冷たい奴だったとはね」
紅月は立ち上がり、部屋に戻って行った
「辛いな」
胡月がやって来た
「聞いていたのか」
「途中からね」
胡月も庭の二人を見つめていた
「俺としては、不思議だけどね…お前がそんな事を言うのはさ」
しばらく庭を見つめ、胡月が入れたコーヒーを一口飲み、静かに話をしだした
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