ー彩ー

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ハァハァ… もう、逃げ場がない 俺の命もここまでか… 弾も使い果たした 後は、死を待つだけ 「銀月!大丈夫か?」 彩月が助けに? 「捜したぞ、走れるか?」 「ああ…」 神はまだ、こんな俺に命を与えてくれるのか? 彩月と二人、暗闇を走り抜ける 「車を待たせてある」 「お前、凛々を?」 凛々とは、彩月が命を賭けて愛している女性 「時間がなかったんだ、あいつなら大丈夫」 あと…もう少し 車が見えて来た 「止まれ」 その声と同時に足がとまる 「くそっ!」 「残念だったな」 冷たい拳銃を向けながら言う 「銀月…これで終わりだ」 「彩月…逃げろ」 「駄目だ!」 「お前まで連れていくわけにはいかないんだよ」 「別れの挨拶は終わったか?」 「用があるのは俺だけだろ?こいつは逃がしてやれ」 「フッ…」 「彩月、早く行け!」 カチャ… 「お前を置いて行けるかよ!」 「彩月!!」 バンッ 「うっ…」 「彩月、何やってんだ!」 「俺にも…わかんね…」 肩から血を流しながらも、俺を庇うように立っている 「死ぬ時は一緒だ」 「馬鹿言うな!凛々を悲しませるな」 「あいつなら大丈夫だ」 「駄目だ…逃げてくれ」 その時は、まったく気付かなかった… 暗闇の中、凛々が近づいている事など…気付かなかった… 「向こうで会おう」 「彩月…ごめん」 「気にすんな」 そして 諦めかけた瞬間 「彩月!逃げて!!」 凛々が拳銃を構えている男に飛び付いた バンッ バンッ バンッ 「凛々!!!」 彩月は男が怯んだ隙に、ナイフで首を切り裂いた 「あ…彩月…」 「凛々、凛々!何やってんだよ!しっかりしろ」 「よ…かっ………」 「待てよ…おい!凛々、目を開けろよ!」 そんな彩月の姿を、俺はただ見つめていた 俺をかばったばかりに 最愛の人を目の前で…
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