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凛々は二度と目を覚まさなかった
彩月は血だらけの凛々をいつまでも抱きしめて、声が枯れるまで泣いた
「俺が…俺が殺した」
彩月は自分を責めながら泣いた
「彩月…俺は何をしてお前に償いをすればいい」
俺を助けに来たばかりに…
お前の幸せを俺が奪った
「彩月…頼む、何か言ってくれ!俺を殺してくれ!」
「銀月…何言ってる…お前に罪はない」
「彩月、お前が俺を庇わなければ凛々は死なずに済んだんだ…」
「お前を庇ったのは、俺の意思だ…お前だって…同じ事をしただろ?」
「彩月…」
そしてその日を境に彩月は姿を消した
俺はただ、待つしかなかった
もう二度と会えないと、諦めていた
そしてしばらく経ったある日…
彩月から連絡が入った
俺は会いに行った
殺されてもいい
それで彩月の気が済むなら…
ところが久しぶりに再会した彩月は違ってた
笑って俺に言ったんだ
「お前のせいじゃない、俺達はいつまでも親友だ」
「彩月…」
「銀月、俺はもう恋なんてしないよ」
「俺のせいだ…」
「いや、違う…俺が幸せになれるのはおかしいと思ったんだ」
「彩月」
「お前、気付いてた?」
「何を?」
「俺、能力者なんだぜ?なのに何故あの時、その力を使わなかったのか、不思議に思わなかったか?」
「それは…」
確かにそうだ
あの時は、気が動転していて気付かなかった
「情けないよな…怒りが頂点に達すると、力を使えなくなるなんて…あの時初めて知ったよ」
「彩月…」
「だけどもし…」
「ん?」
「俺の気持ちを変えてくれる奴が現れたら、応援してくれよ」
彩月は笑いながら言う
「当たり前だ!もし、お前に愛する人が出来たら、俺はどんな事をしても、お前を幸せにしてやるよ」
「サンキュ」
「約束する…」
「うん」
「成る程ね」
そして、胡月は静かに言った
「俺は何も言わないよ」
そう言って銀月の肩を叩き、部屋に向かった
「約束…か」
銀月は、庭で笑う彩月を見つめていた
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