ー彩ー

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プラネタリウムは、和海と行くと約束した大切な場所… ねぇ、和海に触らないで 和海も、そいつの手を振り払ってよ でも、俺は信じるよ 和海は絶対行かないって 俺とも行けなくなっちゃったけど、その場所の意味がわかっているなら 行かないよね? 和海達を見ずに、会話だけに集中した 「行くよね?ここに居ても退屈だし、暇潰しにはなるかも」 暇潰し… ちがう! そんなんじゃない! 「行こう」 う…そ… 和海…嘘でしょ? 手が勝手に震える 泣いてはいけない 泣いちゃだめだ… ポトッ ポトッ 「翔…」 『うっ…っっ』 泣くな 声をだすな 我慢しようとすればする程、どうにもならない気持ち 「銀月、いちゃつくなら向こうでやれ」 幻月がキレそうな声て静かに言った 「行くぞ」 「あっ、ちょっと待って」 男が近くにやってきた 「ねぇ、何でこの人泣いてるの?」 「翔に構うな」 彩月が言う 「あんた、翔って言うんだ…みんなに囲まれてお姫様気分だね…俺、お前みたいななよなよした奴ってむかつく」 「てめぇ、ふざけんなよ!」 燕羽が胸元を掴んで睨み付ける 『えんう…いいんだ』 「翔…だって」 『俺が勝手に泣いただけだから…いいんだ』 「ほらね!みんなの同情をひこうとする」 (バシッ!) 紅蝶が頬を叩く 「いってえな!やんのかおら!」 「いい加減にしろ」 胡月が腕を捻る 「いたいいたい!和海助けて!」 「行くぞ」 「あ、待ってよ」 そう言って和海の腕にしがみつく 「あいつ殺していい?」 幻月は言う 『ごめん…一人にして』 もう何も考えられない フラフラと庭に出て、木蓮に抱き着きながら泣いた 和海…ひどいよ… ひどいよ…
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