ー彩ー

15/16
前へ
/861ページ
次へ
「翔…また泣かせてしまった」 腕を払いのけ、歩く 「ちょっと、どこいくのさ」 「気が変わった、一人で行け」 「なんそれ!」 「夕方までには帰れ」 適当な金を渡し公園で別れる 「わかったよ!じゃ、遊んでくるから」 そう言って男は姿を消した 「プラネタリウム…か」 ベンチに座り、空を見上げる よどんだ気持ちとは裏腹に雲ひとつない晴天 「死にそうな顔をしてしたな…」 さっきの翔を思い出す 俺があいつを殴りたかったよ 「やはり行かなかったのか」 「胡月…」 「下手な演技しやがって」 「翔に悪いことしたな」 「気になる?」 「いや…」 「なら言うな」 胡月がタバコに火を付ける 「吸う?」 「ああ」 「珍しい…」 胡月が付けたライターに顔を近付け、深く吸い込んだ 「タバコは翔が吸わなくなったから、止めてただけだ」 「だから、もう吸ってもいい訳か」 「ああ」 「俺はお前の邪魔はしない…いいか、お前にはだ…ただし、他の奴が翔を傷付けるような事をするなら、次は容赦しない…いいな、伝えたぞ」 「ああ」 「あいつをいつまで置いておくつもりだ」 「もうしばらく」 「だったら、ちゃんと仕付けろ」 「そうだな」 「お前…寝てないだろ」 「眠れる訳がない」 「だったら一生起きてるんだな」 「キツイな」 手に持ったタバコの灰が、地面に落ちる 「銀月…」 「何だ」 「俺が…翔をもらう」 「お前…何言ってるんだ」 「幻月とは別れる、翔を連れて中国に戻るよ」 「ふざけるな…」 「お前にそれを言う権利はないだろ?翔が受け入れてくれるなら文句はないはずだ」 「胡月…幻月が可哀相だとは思わないのか?」 「ふざけるなよ?今お前がしてる事は何だ」 「胡月…」 太陽が二人を照り付ける 今の二人には不似合いな太陽
/861ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4055人が本棚に入れています
本棚に追加