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『いいの?またかかってくるかもだし、もし何か用事だったら…』
「今日の俺の優先順位は翔が1番だからいいんだよ」
『胡月…』
「ん?」
『ホストだったらNo.1になれるね』
「は?」
『今の言葉は反則技だよ』
「ときめいた?」
『ちょっとね』
「クスッ」
『クスッ』
「そうだ、お前はいつも笑っていろ…今はまだ無理かも知れないけどね」
『ありがとう』
胡月は大人だ…
和海も彩月も大人だけど、胡月は何となく違う
よくわからないけど
すごく安心出来る
「翔、翔…」
『ん…』
「着いたよ」
『あっ…俺、寝ちゃったんだ…ごめん』
「何故謝る?」
『助手席に座ってるのに』
「お前にナビは期待していない」
『……ひどっ』
「冗談だよ、眠ってくれて嬉しいよ」
『何で?』
「それだけ安心されてるって事だろ?」
あっ…そっか
『さすがNo.1』
「誰がだ!」
胡月は笑う
「少し歩くから」
『うん』
てか…真っ暗…
山なのかな…
足元すら見えない
「行くぞ」
胡月は俺の手を握り、歩き出した
『ありがとう』
「これ以上怪我をされたら紅月に怒られるからな」
『あはは…ですね』
何で胡月はこんなに、何でも自然にやってのけるんだろう…
幻月は幸せ者だな
よかったよかった
てか、キツイ…
どこまで歩くんだろう
山を登ってるみたいだけど…
「辛そうだな」
『大丈夫…ハァハァ…』
「お前には辛かったかな」
『ハァハァ…大丈夫だから…ハァハァ』
(ふわっ)
『えっ?』
「腕を怪我しているから、こうするしかない」
『大丈夫だから』
「もうすぐだから気にするな」
胡月は呼吸すら乱れていない
化け物…
てか、俺の体力がなさすぎるのか?
「翔、目を閉じろ」
『えっ?』
「この辺りは…たまに…出るらしい」
『嘘…やだやだ!』
胡月にしっかりつかまって、顔を隠した
胡月は…蘭の香がした
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