ー奪ー

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出るって…何が出るんだろう ゆ、幽霊…? 駄目だ 考えるな タヌキ? そうだ タヌキだ、山だし (ガサッ) 『ヒッ!!』 「風だよ」 『あはは……』 「怖がりなんだな」 『いや、普通にあんな事言われたら怖いって!』 「フフッ」 ん?足がとまった ま、まさか… いや~~~~!! 降ろされた? 置き去り…じゃないよな 体を倒された… ええっっ!! 「翔、何一人で慌ててるんだ?」 『どうして、寝かされてるの?』 「ん?」 『何で??』 「知りたい?」 『知りたいに決まってるだろ!てか、目開けてもいい?』 「今からお前を襲おうと思ってるのに」 『えっ?』 反射的に目を開けてしまった 『あっ………』 空には見たこともないような星空 『すごい…』 「こうして観ればよく見えるだろ?」 『うん…』 今まで、こんなに綺麗な星空は見たことがなかった 今にも降り出しそうな星屑 月が出てないから、よく見える 無限に広がる星空を見ていたら、自分がとても小さくみえた 確かに凄く悲しくて辛いけど いつまでも考えていてはいけないと思った 前に、少しずつ 歩き出さなければいけないんだ 今までは和海に背中を押してもらっていたけど これからは、自分の力で歩かなければ 『胡月…ありがとう』 胡月はだまって頷いた このまま、眠ってしまいたい 星屑の布団に草のベット 聞こえてくるのは、風が揺らす木々の音 時折、優しい風が髪を撫でる 胡月の綺麗な髪が、揺れる 胡月はこんなに優しくて綺麗な人だったんだ 綺麗な星空と胡月の横顔をいつまでもみていた
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