ー奪ー

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『ふぅ~』 なんか疲れたけど、すごく楽しかったな まさか胡月が、あんなにすごい場所を知ってるなんて でも、何だか少しだけ元気になったような気がする もう少しだけ、頑張れる気がする 確かに凄く辛いけど、はなればなれになった訳じゃない 同じ場所に和海はいる 和海が他の誰かを好きになったとしても、きっと耐えられる 今はまだ辛いけど いつかは笑って話が出来る日が来るかも知れない きっと、和海は疲れちゃったんだよね 俺が心配ばかりかけてるから… だけど、これからは、和海は自由だから… 自由だから… うん 好きな人を作って 幸せになってほ…しい 『ううっ…っ…和海…うっ、うう…ありがとう』 もう泣くのは今夜が最後にしよう だから 思いきり泣かせて 今だけは… そうしたら 明日には、元気になるように頑張るから… 『ううっ…うっ…』 「翔…、大丈夫か?」 胡月だ 急いで涙を拭いた 『胡月、どうぞ』 「眠れないのか?」 『そんな事ない』 「無理するな」 『うん…無理なんか……してない』 「馬鹿だな」 胡月は優しく抱きしめてくれた どうしてそんなに優しいの? 今だけ 甘えてもいいかな… 『胡月…ごめん…』 「いいよ、泣きたいだけ泣け」 俺は、胡月の腕の中で思いきり泣いた おかしくなるんじゃないかってくらい泣いた 胡月は何も言わずに、抱きしめてくれた そして、泣き疲れた俺は、胡月の腕の中で眠ってしまった 和海… 今まで、ありがとう
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