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どれくらいそうしていただろうか?
肺がズキズキと痛み始めた頃、ようやくその人はとまってくれた。
「あ、ありがとうございましたっ!」
「あぁ、いいよ。お礼はコレで」
「へ……っ、……んんぅ?!」
その言葉に疑問を持ち顔を上げると、顔がどアップで、唇が暖かくて、そのうち濡れた感触がして……
夏の暑さに浮かされて見た夢だと思いたかった。
2年も付き合っていたわけだから、キスも勿論それ以上のこともしていたけど、初対面の人にキスされるなんて思っても見なかった。
「な、ななななななっ……!」
唇が離されて、息も言葉も自由になったけど、私は意味のある言葉は発せなかった。
ただ、呆然としていた。
抵抗を封じられていたわけじゃない。
……抵抗、しなかったんだ。
私はそれがショックで、彼氏に対する罪悪感で一杯で……
それをなかったことにしようと背を向けて走り出した。
このときには、もう歯車は壊れ始めていたことに気付きもせずに…
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