5人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、私は彼氏の悟(さとし)と遊ぶ約束をしていた。
罪悪感でそれどころじゃなかったけど、前からの約束だから逆に怪しまれるかと思っていつもより気合い入れておしゃれして出かけた。
けど、なんか悟の親友正人(まさと)君に渡すものがあるとかで正人君の家によることになった。
「よー、マサ!約束のアレ持ってきたぜ!」
「アレ?」
茶色い紙袋に入った何かを取り出してインターホンごしにそう話した悟に私は首を傾げた。
「ま、玲奈は気にすんな!」
そういって誤魔化した悟だが、かーなーり怪しい。
というかまず正人君に会うのが初めてだから、ちょっと緊張してきた…
『はいはい……』
ガチャリと扉が開いて、出てきた人。
それは、昨日の人だった。
私は口を覆った。
それは声を封じるためであり、犯した罪を隠すための行為。
私を見て、彼はニヤリと笑った。
「あれー、君昨日の…」
「何、知り合い?」
やだ、やだやだやだやだやだ……!
バレる、いや………
目の前が真っ暗になった。
暑さと絶望で頭がクラクラして……
「昨日不良に絡まれてたから助けたんだよ。ねっ?」
「ぁ、はい………」
「はぁ?!玲奈、お前そう言うことはちゃんと言えよ!」
もう、だめだ……
私は堰が切れたように泣き始めた。
とめどなく涙が溢れて、その場に座り込んでしまった。
「あー、もう。よっぽど怖かったんだろ、思い出したくなかったんだよ。そんなに怒ることじゃないよ」
.
最初のコメントを投稿しよう!