始まり

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夜、短く携帯がなる。 登録してないアドレスからのメールらしい。 『正人だよ。忘れた訳じゃないよね?悟に言われたくなかったら明日俺んちまできて』 たったそれだけのメール。 絵文字も顔文字もない、改行すらしていない質素なメール。 だけど、にやにや笑いしている顔が思い浮かんで、何故かドクリと鼓動が跳ねた。 不安とかよくわからない感情とかが入り混じって私は怖くなった。 彼に会うのが怖い。 これ以上会うのは危険―― でも会わなくても悟に言われてしまう…… だから、私は『わかった』とだけ返した。 たった4文字にどれだけの時間をかけたのだろう。 明日が来ること それがこんなにイヤだったことは、多分これが初めてだったんじゃないかと思う。 私は携帯を握りしめたまま、朝を迎えるのだった……… .
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