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翌日から会社では相変わらず冴えない志田弘実。家に帰ってからは弘実ちゃんになった私は、今日は女装してオリジン弁当へ向かいました。
いつもののり弁当はやめて、こぎれいで少し小さな弁当に変えてみたりなんて。店員はいつもと違い少し緊張した面もちだったような気がしました。
仁美さんと会った日の帰り際に言われた一言を私は忘れません。
「弘実ちゃん、きれいだから自信持って」
あの一言で私は少しだけ変われた気がするのです。少なくとも女装している間だけは。
オリジン弁当を持って弘実ちゃんとして歩いていると、前から歩いてきたお兄さんに声をかけられたのです。
「ねぇねぇ、この辺に住んでるの?今から暇?」
志田弘実の時分では、普段避けているようなチャラチャラした感じの青年でした。
私は声を出すとバレてしまうと思い、首を横に振りました。
「違うんだ?俺この近くなんだけど、寄ってかない?」
こともあろうに、私は迷ってしまったのです。
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