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もちろん私の心臓は今にも爆発してしまいそうでした。
もし着いて行ったとして…声を出さずにいられるでしょうか。いいえ、必ずどこかで話をしなくてはいけなくなるでしょう。
私は普段避けているようなタイプの男性に話しかけられたこと、そして女装している私が声をかけられたことに興奮していました。
正直以前にも申しましたように仁美さんに会った日の帰りに、ナンパはされていたのです。
しかし、あの日私をナンパした人はお世辞にもかっこいいとは言えませんでした。
ですが、今私の前にいる男性はいわゆるイケメンなのであります。イケメンに認められたということは私の女装史に残る快挙と言えましょう。
行くべきかやめるべきか。その狭間で私は揺れ動いていました。おそらくこれが乙女心といわれるものでしょう。
「もう恥ずかしがり屋さんなんだから…」
男性は私の手を握ると、私を引っ張るようにして歩き出しました。
抵抗することもなく自然と私の足は男性の住まいへと向かっていくのでした。
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