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「相変わらず何もしゃべってくれないんだ…」
男性はそう言うと、お茶を差し出しました。
「あっ、俺名前はタケル。名前は?」
私はなぜか首を横に振ってしまいました。
タケルはしばらく黙った後、暗い顔をしてこう言いました。
「もしかして…生まれつき声…出ないの?」
私の顔は引きつりました。そういう設定ではないと言ってしまえば良かったのですが、「違う」などと言えば男だということがバレてしまいそうで、首を横に振ることしかできませんでした。
そしてちょうどよいことに、机の上にあったメモ帳とペンで私は―風邪ひいてて喉がやられてる。ごめんね―なんて書いてごまかしました。
「そっか。そうなんだ。名前は?」
―ヒロミだよ
「ヒロミちゃんか~」
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