14人が本棚に入れています
本棚に追加
走る。
心地よい風を全身に受けて。
徐々に鮮明に聞こえてくるのは、気合いの乗った掛け声と、それに合わせるように、木と木がぶつかる音。
「いや~みんなやってるなぁ」
フェイトは朝早くから修行に励む仲間達に賛辞を送る。
「よし、ここは一つ俺が稽古をつけてやろう!」
そう言ってフェイトはさらに走る速度をあげる。
一見サボってばかりのこの落ちこぼれ風なフェイトは、何よりも争い事が嫌いだ。
誰も傷つかない世界。
これが彼の夢。
その夢が為に、今まで彼は仲間に打たれてきた。
打ち込んでくる全てを捌けなかったから。
無論、人を傷つけたくないから、こちらが相手に打ち込むことはない。
そんなフェイトは、皆から好かれていた。
ふざけているようでいて、とても優しいのだ、と。
誰かが泣いてはそっと傍に寄り添い、誰かが怪我をしてはすぐに手当てした。
もちろん、フェイトもみんなの事が大好きだからだ。
最初のコメントを投稿しよう!