眠り

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[……さっきのキス…もしかして…嫌だった?…」 声を落として尋ねる彰に慌てて答える 「い!?嫌なわけないよ!!…ただ…いきなりだったからビックリして…」 すると彰はその場でぎゅうっとアタシを抱き締め 「ごめん…実は会った瞬間からずっとしたいの我慢してたから… 初めてのデートでなんて…早かったかな?… ごめんな?…」 ! そんな!…謝らないでいいのに… 彼ほどの男に謝罪をさせてしまった事が逆に申し訳なくて 逞しい腕の中でアタシは呟く 「ううん…あの…嬉しかった…で…す」 「!ホント!?」 一転して明るくなった声が微笑ましくて アタシも笑顔で頷く 「うん!ホントよ(笑)」 「…じゃあ… もう一回してい? 今…」 え!?ここで!? … 一瞬戸惑ったが 彼の無邪気な明るさを壊したくなくて アタシはそっと了承した 「…はい…」 次の瞬間 彼はアタシの顔を上げさせ 唇を重ねてきた …… 防衛庁そばの路上で 世にも美しい男とキスをする自分を 信じられない思いで見つめる 何処か冷静な己がいる… 「ヒュー♪」 通りすがりに 黒人が アタシ達を見て 軽やかな口笛を吹いた…
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