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竹下のレッスンは、さっちまでいた男性(これも度忘れしちゃった……)とは少し違う。
最初の15分はピアノを弾かず、音楽の基礎知識を勉強することにしているのだ。
もちろんピアノは後からちゃんと弾くし、鍵盤と格闘しているうちは、冗談も言わず真面目にやってくれている。
ならどうして、日常生活では音楽とは無縁そうなこの男が、わざわざ退屈な勉強をしたがるのかというと……
「恵美ちゃーん、この記号はなんて言うんだっけ?」
「ああ、これはアクセントといって……ちょ、やめてください!」
竹下の手が、並ぶようにして座った私の胸やお尻を、カサカサと撫でまわす。
……そう、わざわざこんなことをしたいがために、この男は音楽を学んでいるのだ。
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