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「オーケー、よく出来てるよ。次はこの本の18番を両手で弾けるよう練習してね」
レッスンの終わりには、その日の上達具合や次回までにやっておくべき課題を伝えるのがピアノ講師の常識だ。
「先生、ちょっといいですか」
きゅっと紡がれた口から、いつもより高めの声色で教え子は尋ねた。
「こんなゆっくりしたペースで大丈夫なんですか?音大を受けた先輩は、1日中ピアノ漬けでも時間が足りないって言ってましたが」
なるほどねと私は頷き、どう答えてあげれば良いか、瞬時のうちに考える。
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