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ピンと来ないかもしれないけど、ピアノ演奏には大きく分けて2種類あるの。
1つは楽しむためのピアノ。
2つは演奏者の優劣がはっきりとつけられる、1曲の出来に命を賭けて戦うピアノ。
戦うピアノとはピアニストやそれらの指導をするプロフェッショナルの世界であって、幼稚園の先生になろうとしている子が進むべき世界じゃないのよ。
先輩は、きっと戦うピアノの世界に足を踏み入れたのでしょう。
だから佳奈ちゃんとは心構えが違うのも当然だし、佳奈ちゃんは佳奈ちゃんでやる事をやりましょう。
「そんなもんですか」
目をぱちくりさせたまま、佳奈ちゃんは首を傾げる。
「そう。だからあなたは、このままのペースでいいのよ」
そうですか、と言った佳奈ちゃんはこくりと頷き、いそいそと帰り支度を始めた。
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