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「それじゃ先生、ありがとうございました」
そう挨拶してパタパタと教室を出て行く佳奈ちゃんを見送りながら、私は朧気な不安に包まれていた。
確か、保母になるために必要な学科は偏差値が低めに設定されていたはずだ。
佳奈ちゃんは、市内では一番の進学校に通っている。
そのため佳奈ちゃんには学力の心配こそ必要ないが、周囲の人たちが協力的じゃない可能性だって考えられる。
そうだとしたら、万が一ということだって充分あり得る。
それを避けなければ、佳奈ちゃんにも、そして私にも先は無い。
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