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世界制覇に最も近いと言われる国……ここナグル帝国。
その王都サハリンのダラス城の中庭に寝そべっている男が一人…。
「ファ~。……ねみぃ…」
空はどこまでも青く、太陽は天高く昇り、暖かな日差しを地上へと注いでいた。
男はそんな空を見つめ大あくびをしている。
「やっぱりここにいましたか」
急に空を遮り、一人の女性が笑顔で覗き込んで男に話しかける。
「よぉ。今日もいい天気だな、イリス」
イリスと呼ばれた女性は、透き通るような白い肌、肩甲骨辺りまで伸びた艶のある茶髪、優しい笑顔が特徴的なおっとりとした雰囲気の漂うかなりの美人だった。
「そうですね。それはそうとレスター隊長、何か忘れていませんか?」
レスターと呼ばれた男は肩にややかかる黒髪でセンター分け、あどけなさは残るが、やや切れ目な鋭い瞳をしたかなりの男前だった。
「今日はちゃんと仕事は終わらしたし、国王にも謁見したぞ」
寝ころんだまま覗き込んだままのイリスに言う。
「分かってます。でも、まだありますよね?」
その顔を少し傾け、相変わらずの優しい笑顔を浮かべて、何かを思い出させようとしている。
「………定例会?」
「正~解~」
ハッと思い出して起き上がり、指をさしながら言う。
イリスもそれに答えるように指を指すと、屈むのを止めて少し伸びをする。
「……しゃーない。行くか」
めんどくさそうに立ち上がると、尻を払いながら言う。
「ですね」
暖かな日差しを背に受け、二人は城内へと入っていった。
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