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二人がたどり着いたのは城の二階の一角にある部屋だった。
「よ~っし!やるぞ……って人居ねぇ!」
勢いよく扉を開けたが、中には黒を基調とした服を着た、藍色の長い髪を後ろで縛っている長身の男が居るだけだった。
部屋の中は書類やら何やらが散乱しており、周りは本棚で囲まれていた。
「……遅いぞ…レスター」
その本棚に腕を組んで、もたれかかっていた男は瞳だけをレスターに向けて言う。
「すまん、ゼスト。……お前だけか?」
レスターは部屋の奥にある、どこぞの社長室にありそうな立派な机に向かって歩き、これまた立派な椅子に座る。
「……ミーシャも…いるぞ」
ゼストと呼ばれた男がそう言うと、彼の胸元辺りから、猫のような生き物がひょっこり顔を出し、胸元から腕をつたって肩に移動する。
その生き物は、白い柔らかそうな毛を持っていて、猫よりも随分と小さく、手のひらに乗りそうだ。
大きなやや垂れめの耳と丸々とした潤んだ瞳、首に巻いてある青いナプキンが特徴的だ。
「いや…今はミーシャはカウントしないだろ……」
レスターは呆れたように椅子にもたれかかる。
一方のミーシャは、嬉しそうにミーと鳴きながらゼストに頬ずりをしていた。
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