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■卵人間■
壁一枚の厚さが随分長く感じた。
(信じられないけど、私、小さくなってるんだ)
制服が汚れるのも気にせずに急いで穴を這い出すと、そこはだだっ広い荒野。
風に舞い上がる砂が果菜の背中を押した。
「なっ、な、何?」
押されるがままたどり着いたのは、小さくなった果菜にも頑張れば上れそうな赤レンガの壁で、左右に長く続いている。
(壁だ。またどっかに穴が空いてるのかな?)
どちらに進むか迷う果菜に、何かを叩く音が聞こえてきた。
――ポンポン。
――スリスリ。
――ポンポン。
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