■猫を追って■

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  「ま、まどかを探さないと」 果菜は焦る気持ちを落ち着かせようと、胸をに手を置き何度も深呼吸した。 ――ニャアオ。 すると、どこかから鳴き声が。 「えっ、猫?」 声はすれども姿は見えない。 ――ニャアオ。 人が落ちてきたビルと、ひとつ手前のビルの間に細い路地があり、そこから黒い尻尾がゆらゆらと揺れているのが見えた。 自分以外に色を持ち動く者を発見し、果菜は少しだけ安心した。 (尻尾だけ?) 尻尾の主を確かめようと路地に近づくと、それは吸い込まれるように路地の奥へと消えてしまう。 小走りに駆け寄ると路地の奥からは光が差し込んでいて、猫の形をした影が果菜に向かってすうっと伸びていた。 (もうあんなとこに?) 猫は相変わらず尻尾を揺らして果菜を呼ぶように鳴き声をあげる。 ――ニャアオ。    『……な』 ――ニャアオン。    『……ぁな』 よくよく聞くと、鳴き声と一緒に人の声も聞こえる。 「……まどか? まどかいるの?」 すると今度は猫は鳴かずに、声だけが返ってきた。     『かなぁ!』 果菜は反射的に走り出していた、と同時に猫も走り出し光の奥へ。 (間違いない! 今の、まどかだ!)  image=162530605.jpg
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