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この奥にまどかが居る、そう確信してたどり着いた先はなんと、行き止まりだった。
「なんでぇ?」
民家の塀によくあるコンクリートブロックの壁、果菜二人ぶんもある塀をまどかが乗り越えたとは思えない。
猫はどこに、と足元を見ると塀には猫が通るには十分な大きさの穴が空いている。
(ここから向こうに行ったんだ)
頭は入るかも知れないが流石に通り抜けるのは無理だ。ここは諦めて一旦元の場所に戻ろうとすると、塀の向こうから何かが降ってくる。
「えっ、わっ! 危なっ!」
何とか両手でキャッチすると、それはペットボトル。中身は一口ぶん残っていた。
(まどかが買ったやつ?)
ラベルのデザインは同じだが、何故かそこに書かれている内容が変わっていた。
「私を、飲んで?」
いかにも怪しい代物、毒が入っているかも知れない。しかし、まどかが居るだろう塀の向こうから投げ込まれた物。
何か関係があるかもと、果菜は匂いを嗅いでからちょっとだけ舌に乗せてみた。
「……うん、大丈夫そう」
味も普通。じっとペットボトルを見つめていると……変化が起きた。
(なんか、大きくなってない?)
みるみる内にペットボトルは大きくなり、持っていられなくなった果菜は放りだす。
カラン、と地面に当たる音がする頃には果菜と同じくらいになっていた。
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