好きすきスキと言わせたい

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 そしてやっと取り付けた榛名との約束。怜史には念願の初デート。怜史は一時間も前から待ち合わせ場所で携帯を握り締めて立っていた。  服選びにはかなり頭を悩ませた。何しろスタイリストが相手だ。張り切り過ぎず、抜き過ぎず。榛名好みでかつ、自分らしく。約束が決まった日から悩み続けていたが、当日だけでも決まるまでにニ時間をかけた。それでも落とし所が分からずに、ライダースにインナー、デニムをモノトーンでまとめた、ある意味月並みな格好になってしまった。  それでもモデルのルックスは往来の目を引くのか、通りすがりの女性達がチラチラと怜史に視線を投げかけてゆく。 「って……初デートの女子高生か俺は」  約束の時刻十分前になって携帯を睨み付けている自分に気がつくと、怜史は苦笑しながら後ポケットに携帯をしまった。  ふと顔を上げて辺りを見渡すと、通りの向こうに榛名の姿が目に入った。髪の色が先日の合コン時とは変わっている。アッシュブラウンと言うべきか、くすんだ茶色に落ち着いていた。遠目に怜史を見つけて榛名が軽く手を上げ、古着だろう年代物らしい味のある仕立ての良いトレンチの裾を靡かせて小走りになる。その流れるような所作に見惚れて怜史がぼーっとしているうちに、榛名が怜史の側に辿り着いた。 「ごめん、待たせた?」 「ううん全然」  今日はグレーの榛名の瞳にまた魂を持って行かれながら、怜史はお決まりの返事をした。 「……これとかこれ、こんなのとか、どうかな。どれがイイ?」 「ん~……俺コレがイイかな」 「そうだね、この色が一番怜史の顔映りはイイかも」  榛名の言葉少ないアドバイスは的を射ていて嫌味なく、とても素直に怜史の頭に入ってきた。服を選ぶにしても何点か候補を挙げて、怜史の好みも尊重してくれた。そんな榛名のさりげない優しさなんかもヒシヒシと感じて怜史は身悶えした。側に寄って話をすると何の香水なのか、榛名からはとても良い匂いがした。服選び買い物デートはとても楽しいものだったが、怜史にとっては高ぶる鼓動と、ともすれば荒ぶりそうな下半身を必死で抑えながらの悶々とした時間ともなった。 .
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