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エリシア
「それにしても、早いものね……」
オリヴァー
「何がだ?」
エリシア
「だって、リフィルがここに来たのは6歳の頃よ。あれから、もう十年以上が経っただなんて」
オリヴァー
「確かに、その通りだな。時の流れと云うものは早い。もう十年か……」
エルダ
「あの頃のお嬢様も、今と変わらずお綺麗でしたよ」
リフィル
「いえ、そんな……私としては、あれ以来十年間もお世話になり続けたままで申し訳が有りませんし……きっと、必ず恩返しをしますから」
オリヴァー
「リフィル、それは違うよ」
リフィル
「でも、あの時拾われなかったら、私はきっと死ぬまで奴隷として売られていたと思います……だから、その恩を返さなければ、私の命を救ってくれた人達に本当に申し訳が立ちません……」
オリヴァー
「リフィル。私はね、君がここに来てくれたことに本当に感謝をしているんだよ。いや、私達。かな?」
エリシア
「そうよ。今までリフィルの笑顔にどれほど元気付けられたか。覚えていないくらいだもの」
エルダ
「その通りですよお嬢様。私だって、お嬢様の為に毎日働くことが生き甲斐になっているんですから」
リフィル
「皆さん……」
オリヴァー
「そういうことだリフィル。私達は、恩返しをされるような事をリフィルにしてやったことは一度も無い。だから――そのリフィルの笑顔を、ずっと私達に振りまいていておくれ。私達は、それだけで満足だよ」
リフィル
「伯父様……伯母様も、エルダさんも……ありがとうございます……」
エリシア
「ほらほら、元気を出して。朝食にしましょ」
エルダ
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
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