歩く少女は夜闇に抱かれ

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リフィル  「ごめんなさい、遅くなって」   アーシア  「もう、ホントにおっそい!! せっかく私が直々に迎えに来て上げてるんだから、もっとテキパキとね――」   リフィル  「はいはい。ごめんなさいね」   アーシア  「あぁ、軽く流したわね!!」   リフィル  「だって、アーシアのお説教たらいつも長いんだもの」   アーシア  「そ、れ、は、ね、あなたが遅れて来るからで――」   リフィル  「ジャンもおはよ」   ジャン  「おう、はよ」   アーシア  「……なに、私は総無視ですか……」   リフィル  「無視と云うか、アーシアのお説教はもう身に染みてますから」   ジャン  「リフィル」   リフィル  「なあに、ジャン」   ジャン  「ひょっとして、お前、今日気分が良いだろ?」   リフィル  「え……ああ、まあね。どうして分かったの?」   ジャン  「なんとなくだよ。ま、強いて言うなら幼なじみの勘ってやつかな」   アーシア  「ジャン、あんた意外に鋭いのね」   リフィル  「ホント。驚いたわ」   ジャン  「はん、今更知ったのか。二人共、まだまだ人を見る目が足りないぜ」   アーシア  「アンタに遅れを取るなんて、このアーシア、一生の不覚だわ」   リフィル  「それで、今日はどうしてこんなに早いの?」   アーシア  「あれ、知らせてなかったっけ?」   リフィル  「何を?」   ジャン  「今日は、“あの丘”に行くって言ったろ?」   リフィル  「ん……? ああ、すっかり忘れてたわ。今日だったのね」   アーシア  「今から血がたぎるわよ。なんたって、久しぶりの散策なんだもの」   リフィル  「でも、大丈夫かしら? 私達だけで」   ジャン  「大丈夫だって。なんだ、リフィル。びびってんのか?」   リフィル  「少し怖いけど、きっと大丈夫よね……」   アーシア  「あったりまえよ!! 私を誰だと思ってるの? 天下の情報屋、アーシア=アトカーシャよ!! 別名、ハーメルスの歩く新聞板!! 私にまっかせなさい!!」   ジャン  「お前に任せるのが、一番心配なんだけどな」   アーシア  「何ですってぇ!? 私以上の人材がどこに居るっていうのよ!?」   ジャン  「ハーメルスだけでも腐る程居るぜ」   リフィル  「ふふ、今日も相変わらずね」  
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