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ハーメルスの町
レグラント邸中庭
エルダ
「旦那様…」
少し動揺した感じに
オリヴァー
「ん? どうしたんだねエルダ」
エルダ
「あの、お客様です…何もお申し付けされておりませんでしたので、エントランスにお待たせしているのですが…」
オリヴァー
「客……? 誰からも便りは無かったがな。今行く。エルダ、済まないが応接間に紅茶を持ってきてくれるかな?」
エルダ
「はい、旦那様。かしこまりました」
レグラント邸
応接間
エメリッヒ
「私とは、初めましてかな。レグラント候」
オリヴァー
「君は……だ」
誰だ、と尋ねようと。
エメリッヒ
「エンドール公国府直轄特務公安総局所属。エメリッヒ=ノア・エランベルク。と言えば分かって貰えるかな?」
オリヴァー
「エランベルク……だと……」
エメリッヒ
「ご存知ですね? いや、存じているなんて生半可なものでは無い筈だ」
オリヴァー
「貴様等が……今更私に何の用だ……」
声を低くして。
エメリッヒ
「おや、まるでもう我々とは無関係みたいな物言いだが、公安は決してレグラントを見逃した訳ではないのだと云う事を、しっかりと覚えておいた方が良い」
オリヴァー
「また私達から奪うつもりか!! 息子二人だけでは足りず、次は何を奪う!?」激昂。
エメリッヒ
「それは、これからの貴方の態度に因らしむる所が大きい。貴方が公安に力添をしてくれると云うのであれば、我々は貴方がたに何ら手を加えるつもりはない」
オリヴァー
「く…………」
エメリッヒ
「なに、案ずることは無い。直ぐに終わる。貴方が苦痛に感じるような助力を要請する事は無いだろうからね」
オリヴァー
「…………」
エメリッヒ
「この無言は、協力してくれるのだと理解して良いのかな?」
オリヴァー
「私たちに、危害を加えるような真似はしないのだな?」
エメリッヒ
「ええ。私に協力してくれるのなら」
オリヴァー
「…分かった。協力しよう…」
エメリッヒ
「協力に感謝致します。さて、我々が探しているものなのですが…」
オリヴァー
「何を探している? 用を済ませて、さっさと出て行ってくれ」
エメリッヒ
「ヴァンパイア」
オリヴァー
「何だと……」
エメリッヒ
「我々の探し者、ですよ」
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