歩く少女は夜闇に抱かれ

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  「ニャアン」   リフィル  「あ、ちょっと、こら待ちなさい!!」   「ニャアン」   リフィル  「もう!! こら!! すばしっこいわねぇ……」   「ニャアン!!」   リフィル  「あっ!! こら!! 逃げないでよ!!」       アーシア  「リフィルー。やっぱり、こっちには……って、アレェ!? ちょ、ちょっとジャン!!」   ジャン  「なんだよ、吸血鬼でも発見したか?」   アーシア  「違うわよ!! リフィルが……居ないの……」   ジャン  「そ、そんな……もうじき完全に日が暮れるぞ!!」   アーシア  「どこに行ったのかしら……」   ジャン  「分からない……とにかく、この辺りを探すぞ」   アーシア  「ええ。分かったわ」   ジャン  「リフィル……」         リフィル  「なんなの……この屋敷は……」   黒猫を見失ったリフィルは、気が付くと大きな古館の門前まで来てしまっていた。   リフィル  「こんな森の中に……なんで……?」 怯えた声で   リフィル  「ジャン……アーシア……居ないの……?」 同じく怯えた声      「ニャアン」   リフィル  「え……?」    「ニャアン」 リフィルが向くと、ロザリオをくわえた黒猫が。しかし、猫は門の内側。屋敷の敷地内に居た。   リフィル  「どうして、そんな所に居るの……」   「ニャアン」   リフィル  「でも、ロザリオを取り戻さないと…………よし」 門をくぐる決心をする。   「ニャアン」 それを確認したかのように猫は屋敷の中へ逃げる。   リフィル  「え!! いや、待ってよ!!」 怯えながらも足を進め、屋敷の方へ。   リフィル  「ロザリオを取り戻す為よ。リフィル、頑張りなさい……」 大きなゴシック調のドアノブに手が掛かる。   リフィル  「うぅ……」 恐怖で中々開けられない。   リフィル  「うぅぅぅ……えい!!」 重い音を響かせながら、扉が開く。   リフィル  「あの黒猫……この中よね…………う う、ここで立ってても仕方ないわ。行くわよリフィル!!」 屋敷の中へと足を踏み入れ、数歩歩く。   バタン!!   いきなり扉が閉まる。   リフィル  「うわ!! 何……どういうこと……」 震える声で。   リフィル  「ロザリオは……あの黒猫はどこに居るの……?」    
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