歩く少女は夜闇に抱かれ

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  レイル  「リフィルー!! 聞こえていたら返事をしろ!!」   ジャン  「リフィル!! 居ないのかあ!!」   アーシア  「リフィル……どこにいっちゃったのよ……」   レイル  「くそ……手掛かりすら見つけられないか……満月だからまだ良いが、それでもそろそろ限界だな」   ジャン  「待てよレイル兄、まさかリフィルを見捨てるっていうのか……」   レイル  「違う。今こんな状況で闇雲に捜索を続けても、リフィルを発見できる確率は極端に低いってことだ。明日の朝。町から人を集めて捜した方が良いと思うんだが」   アーシア  「そんなの嫌……必ずリフィルを見つけ出さないと……私、リフィルが見つかるまでこの森から離れない」   ジャン  「俺もだ。ここに残って、リフィルを捜す」   レイル  「……はあ……まったく、お前らは本当に俺の仕事を増やしてくれるよ。分かった。日が昇るまで捜して見つからなかったら、町に戻って人を集める。そして捜索再開。それで良いな?」   ジャン  「ああ、ありがとな。レイル兄」   アーシア  「分かった。早く見つけましょ」   レイル  「ただし、勝手な行動は禁じる。三人一組で捜索する。絶対に離れるなよ?」   ジャン  「ああ、分かった」   アーシア  「ええ、分かってるわよ」           ハーメルスの町   オリヴァー  「貴様等、私の娘に何をした!!」   エメリッヒ  「一体何事かね?」   オリヴァー  「とぼけても無駄だ。私の娘が行方不明になったのだぞ?」   エメリッヒ  「どこでだね?」   オリヴァー  「それは貴様が良く分かっているだろう?」   エメリッヒ  「妙な言い掛かりは困るよオリヴァー候。私たちは、貴方の養子などには一切興味は無いのだからね」   オリヴァー  「娘ではなく、ロザリオを狙ったのではないのか?」   エメリッヒ  「ロザリオ? 候、あのロザリオを自分の養子に渡したので?」   オリヴァー  「知って訊いているのだろう?」   エメリッヒ  「黒い森か!?」   オリヴァー  「貴様、やはり分かっていて……」   エメリッヒ  「誤解されては困る。我々は本当に何もしてはいないのだから。それより私は行かねばならない。黒い森に。貴方の娘さんの為にもね」   オリヴァー  「おい!! 待て!!」   エメリッヒ  「残念ながら待てないのだよ。それが私の使命なのだからね。では、良い夜を」  
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