僕と彼女と彼女の彼

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「あのさ。いっこ聞いていい?」 彼女に玉砕覚悟の告白をしてから、二週間。 構内にある日影のベンチで、僕は彼女と昼食を取っていた。 彼女とはめでたく恋人に……実は、なれていない。 あの時確かに僕は付き合ってくれと言い、彼女はいいと答えた。 で、『シュウ』が実は『シュー』だったという衝撃的事実を知らされて。 その後、彼女は言ったんだ。 ずっと犬に嫉妬してた自分に対して自己嫌悪になってた僕に向かって。 『ところで、中里くん』 『……?』 『さっき付き合ってって言ってたけど……いつ?』 『は?』 いつもなにも、今ここで今日から君の『彼氏』だと、胸を張りたいんですが。 『あのね、わたしさっき二つ返事でOKしちゃったんだけど、来週の土曜日は大事なセミナーがあるの。それ以外なら大丈夫なんだけど……』 『……』 『ね、どこに行くの?わたしに付き合って欲しいってことは、誰か女の子にプレゼント選ぶとか?』 いかにもワクワク、楽しみです、と語る彼女の目。 ……そりゃないよ。 あんなに頑張ったのに、こんなベタな勘違いで空振りだなんて。 恋人としての『付き合う』を、どこかに行くのに『付き合う』と勘違いだなんてっ!! おかげで未だ彼女は僕のことを「仲の良い友達」くらいにしか認識してないと思う。
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