僕と彼女と彼女の彼

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「この子の名前、何か可愛いモノの名前がいいな、って思ってて。なかなか決まらなかったんだけど、ある日もらい物のシュークリームの箱をテーブルの上に置きっぱなしにしてたら、5個全部食べちゃったの。で、その時『シュークリーム』って名前を思いついて、決定♪」 「……」 なんて安直な。もうちょっとひねりがあってもいいと思うんだけど。 何より『シュークリーム』が可愛い名前だ、という彼女ほどのカリスマ的センスを、残念ながら僕は持ち合わせていない。 ………本当に残念だ。 「でも考えてみたら、あの子クリーム色でしょ?だったらわざわざ『クリーム』って付けなくてもいいかな、って。だから呼び名はシュー。あ、でも病院に行くときは『シュー・クリーム』ってフルネームなんだよ」 でもお薬袋とかに書くときは飼い主の苗字付くんだよね。 『佐伯シュークリームちゃん』って書いてあるの、ちょっとヤダな。 シューの苗字は『クリーム』なのに。佐伯つけないで欲しい。 ……そんなことを口を尖らせて言って、彼女はオレンジジュースのストローに口をつける。 彼女の注意の80%を占める彼が少しばかり妬ましいときもあるけど、これはこれで出会った頃から比べればかなりの進歩だし。 そう考えれば、シューも少しは僕らの仲を取り持ってくれたことになるのかな。
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