僕と彼女と彼女の彼

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「ねぇ、今度の日曜日空いてる?」 だったら彼にちょっとくらい感謝してもいいか、と余裕の生まれたおかげか、誘いのセリフはごく自然に僕の口から出てきて。 「日曜日?うん、空いてる。どうかしたの?」 「じゃ、うちに遊びに来ない?まだ、来たことないでしょ」 「わ、いいの?行くっ」 彼女の返事は偉大だ。 この一言で僕は世の中の節操のないカップルたちにも以前よりはいくらか優しくなれる。 部屋は掃除して、何か機械オンチの彼女でも楽しめるような分かりやすいゲームでも用意しておこう。 また一歩、彼女と仲よくなれるといいな。 何か進展のありそうな予感で心躍らせる僕に、彼女が極上の笑顔で言った。 「それじゃ、シューも連れてくね」 楽しみだなぁ、と嬉しそうな彼女。 ……やっぱりしばらく、シューは恋敵のままらしい。          *Fin*
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