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「溺愛してるわねぇ。じゃあそろそろ帰った方がいいんじゃないの?待ってるんでしょ」
笑いを含んだ板倉さんのセリフ。
ちょっと待て。
待ってるっていうのはつまり……
「うん。何かシュウの話してたらまた会いたくなってきちゃった!」
「何言ってんの。家じゃぁベっタベタしてるくせに」
「まぁね~」
照れたように彼女が笑う。
ベタベタって……同棲!?
「それじゃ、また明日ね~」
僕の動揺に構うわけもなく、彼女はさっさと帰り支度をすませる。
……かろうじて話をしたことはあっても、友達として名前を憶えられているかどうかも危うい自分。
片やライバルは――もはやライバルと言うのもおこがましいような気すらしてくるが――付き合い始めたばかりで、しかも同棲中。
もしかしてこれってあれか、『叶わぬ恋』ってヤツですか。
いや、それ以前にただの横恋慕?
何かもうダメだ、自分で言っててヘコんできた……。
「愛しのシュウによろしくね~」
い、愛しの………
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