僕と彼女と彼女の彼

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「でもよ」 ぐずぐずとそれでも悩み続ける僕に、手塚さんは言う。 「それがお前のいい所でもあると思うぞ」 「……は?」 いつになく優しくそんなことを言ってくれるから、僕は耳を疑った。 「お前も結構軟弱な奴だしな、打たれ弱いし優柔不断で見てるこっちがイライラするけど」 「……褒めてるんですか?」 「褒めてるじゃねぇか。お前はその可愛い子ちゃんの今の幸せを考えてやれるだろ?だからこそ無駄に悩んでるっていうのも確かだけど、お前のそういう相手の気持ちを捨てきれないところは、最大の長所なんだよ」 「手塚さん……」 やっぱりいい人だ。 何だかちょっと嬉しくて、泣きそうになった。 だけどそこで素直に感激させてくれないのが手塚さんで。 直後にアブナイとも思える笑顔で言い放つ。 「俺だったら余計な事考えずに自分のモンにするけどな」 「手塚さん。恋愛は相手にも好きになってもらわないと、恋人とはいえませんよ?」 苦笑した僕に、手塚さんは優しいんだか強引なんだか分からないアドバイスをくれた。 「女なんか他にもごまんといるんだ。その可愛い子ちゃんに当たって砕けたら、俺が紹介してやるよ」
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