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周囲を深い鬱蒼とした森に囲まれた、透明でない、不思議な青さを持つ泉のほとり。小さな黄色と白の草花が、苔むした周囲の大地に彩りを添えている。
今日も天気が良く、小鳥のさえずりも手伝って非常に清々しい朝を迎えていた。
森の中ではあるが、ここだけは太陽の光が惜しげもなく燦々と降り注ぎ、泉の水面をキラキラと煌かせている。そしてそれだけでなくもう幾つか、煌かせている物があった。
適当に短く切られた濃いめの金の髪、そしてその髪と同色の虹彩だ。
「んん~!」
ほとりに立つほったて小屋から出、思い切り背伸びをしたこの人物は、エルフ族の青年である。本人の実年齢はさておき、見た目は人間で言えば十代後半程度といった所か。
彼なりの目覚ましなのだろうか、硬めの髪をワシワシと掻いて、長く尖った耳を軽く弄びながら大きなあくびを一つ。
そのまま近くにあった切り株に腰掛けると、折角屋外に出ているというのに分厚い本に目を通し始めた。
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