箱ヘル編第四章 姫の誕生日に…

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毎日のモーニングコールが始まり、姫と連絡を取らない日がなくなった。 たまにお店に行ったり、実は内緒で会ったり…。 月日は流れ、姫の誕生日前日。 その日も恒例のモーニングコールで姫を起こし、姫は仕事に出る。 私は、誕生日用のメールを制作し、12時まで家でテレビ等を見ながら時間を潰していた。 長い時間が過ぎ、ふっと気がつくともう朝!! 「…やべ…寝過ごした」と私は思いながら携帯を見ると、姫から【今日、誕生日なんですけど…】と、お怒りのメールが届いていた。 さすがにマズイと思ったが、私はモーニングコールまで連絡は取らずにして、起こした時も誕生日の話題には触れなかった。 とうぜん姫も不機嫌そうに電話に出て、愛想なく電話を切る。 いろいろと考えたが、私は仕事が終わるとすぐに、姫には内緒で中洲に向かった。 向かう途中に電話で予約をし、7時前には中洲に到着。 あまりお客がいないのか、着くとすぐに番号を呼ばれ、中に通された。 階段をゆっくり上がり、踊り場を曲がると姫が。 驚いた顔でこっちを見ているが、無言で部屋に向かう私。 戸惑いながら、姫も私を誘導して部屋に入った。 姫は「えっ?」と私に聞く。 私はここぞとばかりに「誕生日おめでとう!」と姫に言った。 姫は悲しげに「連絡もないから忘れてると思ってた…」と言う。 「会ってから言いたかったから言わなかった」と私は笑顔で切り出すと、姫は嬉しそうに「ありがとう」と言いながら抱き着いて来た。 何とか姫の機嫌を治すことに成功し、私は心の中で「ほっ」と一息ついた。 それから姫との仲が、より良くなったのは言うまでもない。 今でも「あの時はようやった!」と自分で思う。
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