箱ヘル編第三章 姫からの電話

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姫と連絡を取り始めて、一ヶ月ぐらいたっただろうか。 毎日のように、電話やメールのやり取りをしていた。 お店にも会いには行っていたが、2~3週間に一度行くかどうかだった。 そんなある日、私が昼に仕事をしていると、急に電話が鳴りだした。 「この音楽は…」と思い、携帯を見てみると、姫からだった。 今までは、連絡があっても、夜だけだった。 何かあったのかと思い、すぐに電話に出た。 「…もしもし」と姫は低いテンションで言ってきた。 「どうしたの、こんな時間に?」と私が聞くと、「怖くて寝れないの…」と姫は言い出した。 理由を聞くと姫は「家の裏がお墓で、オバケが出る」と言った。 「えっ?(笑)」と私が半笑いで聞き返すと、姫は「だって出るんだもん!!」と怒りながら言った。 そんなやり取りを30分ほど続けていたが、いつの間にか話は、日常会話に戻っていた。 盛り上がる話の中、ふっと時計を見ると14時を回っていた。 私が「今日、仕事やろ?何時に起きるの?」と姫に聞くと「17時には起きるよ」と姫は答えた。 「えっ!!17時ならもう、ほとんど寝れないじゃん」と私は言った。 すると「たぶん寝坊する」と笑いながら姫は言う。 「じゃあ、17時に電話で起こしてあげるよ」と私が言うと、姫は嬉しそうな声で「うん」と答えてくれた。 こんなやり取りから、私が姫にモーニングコールをする習慣が始まった。
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