前兆

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いつの間にか二人は長い、近所のおばさんたちの間では心臓破りの坂と呼ばれている、とてつもなく急でとてつもなく長い坂を登りきっていた     坂の道を外れ、少し歩いたところにある道の端の手すりに寄りかかる     この場所はとてつもなく高い位置にあり、町全体をここからならほとんど見渡せる     ここから真下を見下ろすと、足がすくんでしまうような人がいるくらいここは高い     ササァァ…ッ     風が二人の体を撫でる     ここで浴びる風は、最高に気持ちいい     しかし、今浴びている風は違った     髪が揺れるように、   なんだろう     『心』?     そう、それが揺れる、ざわめいている
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