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【６】
昨日からの続き
昨夜の夢などは
思い出さないとか
簡単に忘れたりできる
でも
昼間に起きた
不可解な出来事はどうだろう
忘れもしない
あの出来事
私はアルバイトで
ライヴのアシスタントをしていた
アイドルやバンド
ジャニーズのライヴが
無料で聴けるのだから
みんなから羨ましがられた
ある日
私の友達が体調を崩し
仕事中に休憩していた
心配した私は
ジュースを差し入れに
待機室へ向かった
彼女は
鏡の前でうつ伏せになっていた
声を掛けても返事すらしない
正面は鏡張りの
カウンターで
こちらに背中を向けている友達
友達の頭と私の姿が映っているのだが
私の背後の開かれた戸の
向こうを
人が通過した
その人が戻ってきて
部屋を覗き
こう言った
「大丈夫」
それまでは横目で鏡に映る人が見えていた程度だが
私はハッと
鏡を見た
人はいなくて
私の顔が
違う人の顔だった
友達が起きて
「大丈夫だよ」
と言ってまた寝た
後から聞いても
彼女は覚えていないと言う
私は
耳に残った声と
鏡に写った顔の残像に
当分、悩まされる事になる
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