01―日常―

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「ハルー!待ちなさいって!」 清水春彦(三重県T中学校三年一組男子6番)は 母、清水春奈の声で足を止める。 春奈が慌てて駆け寄り忘れ物を渡す。 「またお弁当忘れていくつもりなの??  雛ちゃんの分ばっかり食べるんじゃないよ?!」 「はいはいはい!!  雛が残すっつーからもらっただけだろー。  本当、ウルサイなー。  もういい?行って来るから!」 春彦は自転車にまたがりペダルに足を乗せる。 漕ぎ出そうとするのだが、 息子を見送ろうと背中を見つめていた春奈に声を掛ける。 「…弁当わざわざありがとー!」 「…え、ハル…」 グッと足に力を入れ自転車を進める。 春奈はその後姿をとても微笑ましく眺めていた。       自転車通学は禁止されている。 けれど春彦は遅刻確定の時間に家を出るときは いつも自転車に乗っていくいのだ。 学校から徒歩二分の場所にあるコンビニエンストアに自転車を止め そこからは走って行くのだ。    
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