プロローグ

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男は結婚を決める前に 自分の汚れた過去を全て話した。 全てを聞いても彼女は男の元を離れなかった。 女の実家は大きな玩具会社だ。 父が社長で、ちょうどそのとき売り出し時期だったため 二人の結婚は最初は反対された。 けれど、二人の間に子供が出来たと聞きやっと認めてもらえた。 (未だに実家にはいけないようだ)     「この先…この子にまでたくさん迷惑を掛けるだろうな」 男は小さな声で謝る。 女は首を横に振った。 「私は選んだ道だから大丈夫…  でもこの子は…だからこそ、二人で幸せにしてやりましょ?」 男は逃げなくてはいけない身だった。 今から五年前…殺人を犯した。 実はそれ以前にも人を殺めてしまったことがあるらしい。 その時はそうしないといけない状況にあったらしいが 五年前のはまた別だと言う。 政府の人間が男を捜している… どういうわけか、男の罪は公にはされなかった。 重要参考人として探されているらしい。   幸運なことに田舎の方へいくと 男が追われている身と知る者はいなかった。 だから二人は田舎の方に住み、住まいを転々とする生活を送っていたのだ。 二人は愛する息子の寝顔を見つめ、 不安と、幸せを見せながら見詰め合うのだった…
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