プロローグ

4/4

1019人が本棚に入れています
本棚に追加
/297ページ
「本日未明、**県**市にある○×商店街の裏路地で 男性の射殺死体を発見。 犯人は掴まらず。 男性は以前から重要参考人として捜索中だった…」     女はその場に崩れこむ。 今朝、元気に朝市に行って来ると言っていた夫だった。 夫の顔がテレビに映される。 これは数年前の写真か何かなのだろう。 少し若い気がする。 きっと中学生かそこらではないだろうか? 制服を着ているもの。   「…そんな…そんな…!う…あなた…あ…うあああ……」 泣き崩れる母を心配し、三歳になった息子がよちよちと駆け寄る。 「…かーさん?」 慌ててテレビのスイッチを切り、 『大丈夫』と何度もいい息子の頭を撫でる。 そして思い出すのだ、夫の言葉を。       「もし、私が殺されてしまったら…  それは私が政府の奴等に見つかり、何か反抗したときだ。  そしたらきっとスナイパーか、もしくはその場居合わせた誰かに  私は殺されるか…何処かに連れられるだろ。  もしそうなったらお前たちのことも探すと思う。  居場所がわかっているんだ…きっと知っている。  だから、守っておくれ?  この子と、君自身を。」     「…はい」 女はそう呟くと荷物をまとめる。 この地に住んでわずか二年。 短い気もするがそれももうなれたことだった。   「…絶対私が守りますから」 女はそう呟くと息子をギュっと抱きしめた… 再び始まる。 一人の男の娯楽心のために再び…
/297ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1019人が本棚に入れています
本棚に追加