第一章 パーティ

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ハリソンは他のみんなを見回して判断した。 誰も異論はなく、頷いて気持ち悪い程積み上げられた人の頭程の大きさの卵に手持ちの油をかけると、松明を放り投げた。 「さぁ脱出するぞ!」 メイの召喚している光の精霊がふわっと軽やかに通路の天井近くを飛んで辺りを照らす。 巨大蟻の巣穴通路は、ちょうど人が一人立って通れるくらいの通路で、先頭のハリソンが大剣(グレートソード)を振り回すには狭いといえた。 だからハリソンは予備の小剣(ショートソード)を握っていた。 小剣は長剣や大剣等のいわゆる叩き斬るという武器ではなく、鎧などの隙間から切りつけたり突いたりする武器だ。 刃渡りが人間の肘から指先くらいまでで、使いやすい剣なので凡庸されている。 また大抵の戦士が予備の武器として小剣や短刀(ダガー)を使っていた。 しかし、鎧のように堅い表皮で覆われた巨大蟻には、物足りなさを感じずにはいられなかった。
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