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ローランドは小声でそう囁くと視線でメイを促した。
ローランドの視線の先では、シールズが右手で右腰に吊した予備の小剣の柄を握っていた。
普段のシールズはそんな歩き方はしない。
「自分の気が弛まないようにそうしているのかもしれないけど」
さらに小声でつけ加えると、ローランドはにっこりと笑う。
「それよりも、そろそろ巨大蟻の巣窟に着くよ」
このチームにメイが参加しているのは、土の精霊を操って、閉じた穴を開かなければならないからである。
そして土の精霊力だけが強く働くこの場所では、普段よりも疲労が激しいので、回復役としてローランドが同行していた。
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