第一章 パーティ

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ハリソンは迷いなく巨大蟻の開いた顎の中央に小剣を突き立てた。 開いた口を小剣は貫き、蟻の後頭部を内側から突き破る。 巨大蟻はのたうち回りながらも顎を締め、ハリソンの腕に食い込ませた。 ハリソンは動かなくなった蟻を引きずるようにして、前に進みながら顎をはずした。 鏝で守られていない上腕に、赤い血と蟻の唾液がにじんだ。 「腕についた酸は拭いておくべきよ」 ローレライが布きれをハリソンに渡す。 女王蟻の口から吐く酸が強力だったので、その事を踏まえてだった。 ハリソンは腕を拭きながら、ひたすら前に進み広間に出た。最後尾のシールズが追い着かれる寸前だった。 「シールズ! 手伝う……ぜ……」 ハリソンは広間に入るとすぐに大剣を抜き放ち、最後尾のシールズと並ぼうとした。 しかし、広間にはパーティの裏をかくように無数の巨大蟻が集まっており、ハリソン達は完全に囲まれていた。 広間には何本かの通路があり、他の通路から集まってきたのだろう。 パーティに尋常でない緊張が走った。
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