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攻撃はほとんどできなかった。
防御に撤しないと目前で次から次に襲ってくる巨大蟻は、スキを逃さずに畳み掛けてくるだろう。
しかも、体力が尽きかけているシールズにとって限りないほどの蟻を全て倒せるわけがないので、攻撃で無駄に消耗するわけにはいかなかった。
背中から仲間達の気配が消え、シールズは蟻たちの攻撃を防ぎながら後退りする。
通路に入ってしまえば、蟻は並ぶしかなくなるので複数を一度に相手せずに済む。
それと同時に、武器をバスタードソードからショートソードに持ちかえなければならないが、今のシールズにとっては相手を絞れる事の方が大きかった。
乾いた土を踏みしめ、シールズはゆっくりと後退する。
牛歩の歩みで退がりながらも、上半身の動きは対照的に素早く忙しなかった。
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